最初に放たれたのはそれは火ではないものでできていた。ひとりの子供の願いにより、それは空から落ちてきたのだ。
人の意識は耐えがたく、あらゆる壕、穴、そして溝は涙で満たされ、それは海と呼ばれた。
囁きは世界を土くれへと変えた。まるで声に出すより前に、言葉が世界を貫くかのように。
悲嘆を逃れるために楽し気な道を見つけたかれらは、そのまぶたの裏に色鮮やかにきらめく光を見出し、それを追いかけた。
地上の生物は退屈だったゆえに、夢見人たちはしばしば、我々が最も愉快に感じるものたちを思い描く。
願いが形を持つとき、世界の法則は調和を失い、自然となり、楽しく不可思議となる。
絶え間なき変化への恐怖に抗うため、人はルールを作り、その上に世代は築かれる。壁を通して話すがいい。大声は上げず、話すことを促されたそのときだけ。
夢見人が聖杯に火を灯すとき、その者は過去の記憶の残響を聴く。それは第三の師が望んだことでもあった。
かくも豊かな想像力も、精神の壁を越えられなければ無為となる。ゆえにかれらは求める。アイデアを放出するための道を。
多くの人々が流星の謎の解明にその身を捧げた。儀式を見守る超常の存在がいるのか? 不正を試みた者たちが記憶から消されるのはなぜなのか?と。
何千もの人々が髪を伸ばす。10年の終わりには壁の向こうにどこまでも続く列ができ、世界の重みを背負った炎を燃え上がらせる。
前回の夢見人が10年後に戻って来る。編み込んだ長い髪を背中に垂らしつつ。そして彼女は、彼女の後継者に頼む。ひとりよがりであった過去の願いと対を成すような、魅力的な願いを。
ひとりの夢見人は、夢見人は祀られるべきだと言い、時の流れに耐えられる社(やしろ)を作った。ひとりの夢見人は朽ちていくことに美しさを見出し、忘れられることを願った。
ある夢見人は決めた。夢見人はなにかを願うべきではないと。それ以来、夢見人が願うことを望む者はいなくなった。
10人だったとき、静寂は永遠に感じられた。かれらは100人に、1000人に、10億人になりたいと願った。そして世界は引き延ばされ、再構築された。魔力に縛られるがゆえに、地球は人の規模を超えて成長することはない。
一見どうということのない願いによって、大きな変動はもたらされた。空がその色を何度変えても、運命は動じなかったが、ひとりの男が人のために光の活用を願ったとき、運命は噴火した。
賢い第七の師が言ったように、願いが現実を粉砕することはない。積み重なるルールは硬直を呼ぶ。いつの日か、最後の願いがなされ、宇宙は完成する。
心傷ついた町の民の中には、愛を撲滅しようと試みた者もいる。しかし世代が変わるごとに人々は、絆が生み出すあのときめくような火花を分かち合う、新たな名前と方法を見つけ出す。
墜ちた星は、自らが授けた力がいかに人を苦しめたかを知る。そびえ立つ障壁と懲罰があってはじめて、人は恩恵を楽しむことができるのだと。
第十の師がその夢見人の殺害を決意して以来、あらゆる人間はひび割れた魂を持って生まれ、その割れ目からは怒りが染み出るようになった。
ある夢見人はかつて、口論に勝つためだけに地球を丸くした。
昔々、ひとりの盗賊が海面から星を盗もうとした。その純真さに感じ入った漁師たちは、盗賊のためにいくつかつかまえてやろうと、訓練場の前の海で舟を動かした。
怠け者の漁師があるとき、魚が自分の舟に向かって飛び込んでくることを願った。そして彼の舟は沈んだ。
太古の昔より、夢見人は自らが叶える願いを予知夢として見てきた。あるとき、ひとりの村人がその夢の中に入らせてくれと頼み、それによって生じた無限循環によってふたりは廃人となった。
多くの事故や災難を経験したのち、思いやりに満ちたひとりの夢見人が、すべての師を炎の牙より守るようはからった。そして放たれる火は、聖杯だけを燃やすこととなった。
誰かが月をなくすことを願ったが、月という名称自体を消し忘れた。よって人が夜空を見るとき、かれらはそこに月がないことを知っているが、月がなんなのかはわからない。
あるとき、ひとりの夢見人がスリングショットに嘘を編みこんだ。彼女が夜空に炎を放ったとき、作り話が星々に影響し、かくして星座は誕生した。
第十三の師は密かに告白の壁の裏に立ち、未来の夢見人たちを導けるように自分を星に変えるように願った。師はあなたの夢を大そう楽しんでいる。そしてあなたに感謝し、あなたの幸運を願っている。
第一の師は、墜ちた星の残骸の上に寺院を作ることを思い立った。第二の師は最も目立っていた岩を削って告白の壁を作った。第三の師は夢見人が墜ちないように柵を作った。第四の師は練習に使えるように、聖杯に模した器を作った。そして聖杯は、このどれよりも前からそこにあった。
夢見人は三隻の舟を含む、すべての場所に火を灯した。それでもなお、儀式の日になれば彼女の手は震えるだろう。